ペンテスターを目指して勉強を始めたものの、こんな悩みを感じていませんか?
- どのスキルを、どの程度理解すればいいのかわからない
- 自分に何が足りていて、何が不足しているのかが判断できない

こんにちは、いなりまるです
本記事ではこのようなお悩みを解決します!
この記事では、ペンテスターに求められるスキルを7つ解説し、まず初心者がどのスキルをどの順番で学ぶべきか、段階的な習得ステップと到達目安を紹介します。
「今の自分に何が足りないのか」「何から手をつければいいのか」がはっきりするので、やるべきことが整理され、不安なく学習を進められるようになります。
本記事でわかること
- ペンテスターに必要なスキル<
- 最低限習得しておくべきスキルレベル
ペンテスターの仕事内容

ペンテスター(Penetration Tester)は、企業や組織のシステムに対して擬似的なサイバー攻撃を行って脆弱性(セキュリティの弱点)を見つけ出す専門家です。
実際の攻撃と同じ手法を使い、企業や組織のセキュリティ体制がどれほど強固かをテストします。
主な業務には、以下のようなものがあります。
- テスト対象や目的の確認(ヒアリング)
- 情報収集(OSの種類やサーバー構成などの調査)や擬似攻撃
- 報告書作成・改善提案
ペンテスターには、擬似攻撃を実施する技術力に加えて、クライアントとの調整力や報告力といったビジネススキルも求められます。
ペンテスターはセキュリティ分野の中でも専門性が高く、難しそうに思えるかもしれません。
しかし、すべてのスキルを最初から完璧に備えておく必要はありません。
この記事で紹介する「必要なスキル」と「その優先順位」を参考にしながら、必要に応じてスキルを段階的に身につけていくことをお勧めします。
🔗 ペンテスターの仕事内容についてさらに詳しく知りたい方はこちらの記事もおすすめです
関連記事ペンテスターの仕事は何をする?実際の業務内容を具体的に紹介
未経験でも目指せる!ペンテスターに求められるスキル一覧

ペンテスターとして活躍するには、さまざまな知識やスキルが求められます。
ただし、最初からすべてを完璧に理解しておく必要はありません。
ここでは、ペンテスターに求められる主要スキルを7つ紹介します。
ネットワークの基礎知識|OSI参照モデルやTCP/IPの理解
ペンテスターは、ネットワーク上にあるサーバやデバイス、通信の仕組みを理解したうえで攻撃を模倣するため、ネットワークの基礎知識は必須です。
以下のような場面では、通信経路やプロトコルの挙動を理解していないと正しい判断ができません。
- ポートスキャンで開いているサービスを調べるとき
- ファイアウォールのルールを回避して内部ネットワークにアクセスする場合
OSとコマンドライン操作|WindowsとLinuxの仕組み理解

テスト対象の多くはWindowsやLinuxで構成されており、侵入後はコマンドラインでの操作が基本になります。
また、ファイルの構成、ユーザ権限など、OS特有の仕組みを理解していないと、重要な情報を見逃してしまう可能性ががあります。
以下のような場面でOSやコマンドラインの知識が必要になります。
- ログの確認やユーザーアカウントの列挙などの侵入後の調査
- ローカル権限から管理者権限への昇格(権限昇格)
セキュリティの基礎知識|用語とセキュリティ機器の理解
ペンテスターはセキュリティの専門家として、基本的な用語や概念を理解していることが前提です。
また、ファイアウォール、IDS/IPS、WAFなどのセキュリティ機器の仕組みを理解していなければ、「なぜ攻撃が失敗したのか」「どのレイヤーでブロックされたのか」を正しく分析できません。
サイバー攻撃手法の理解|攻撃者視点でテストできる力
ペンテスターは、「攻撃者だったらどう動くか?」を想像できる力が求められます。
XSSやSQLインジェクション、リモートコード実行など、攻撃手法を理解していないと、ツール任せの“表面的なテスト”になってしまいます。
以下のような場面で攻撃手法の理解が必要になります。
- Webアプリへの手動での攻撃検証(XSS、SQLi など)
- 権限昇格、リバースシェルの展開など、侵害シナリオを想定した実践的なテスト
プログラミングスキル|PythonやBashの理解
汎用的なツールでは対応できないケースでは、自分でスクリプトを修正したり、環境に合わせて調整する能力が必要です。
特に脆弱性の検証では、公開されているPoC(概念実証コード)を扱う場面も多く、コードの読解力や修正が求められます。
なお、PythonとBashは、使用頻度が高く必要になることが多くあります。
以下のような場面でプログラミングスキルが必要になります。
- 脆弱性を検証するためのPoCコードを解析・改修して実行する場面
- スキャン結果やログを整形・分析するための簡易スクリプトの作成
ビジネススキル|報告・連携・論理的思考の重要性
ペンテスターは、単に攻撃するだけの仕事ではありません。
クライアントとの打ち合わせや報告を通じて、信頼関係を築くことも重要な業務の一部です。
専門用語を平易な言葉に翻訳して伝える力や、論理的に要点をまとめるスキルが求められます。
以下のような場面でビジネススキルが必要になります。
- クライアントとのヒアリングや調整を行う打ち合わせの場面
- テスト結果を報告書にまとめて提出する場面
マインドセット|好奇心と探究心
セキュリティの世界は日進月歩で、常に新しい脆弱性や攻撃手法が生まれ続けています。
また、実際のテストでは、1回でうまくいくことは稀で、何度も試行錯誤しながら突破口を探すような根気と柔軟な思考が必要です。
以下のような場面で好奇心や探究心が重要になります。
- 自ら新しい知識や技術を学び続けるとき(学習意欲)
- 攻撃が通らない原因を分析し、試行錯誤する場面
まずはここから!未経験者が身につけるべきスキルの順番と到達目安

ペンテスターに必要なスキルは幅広いですが、すべてを完璧に身につける必要はありません。
むしろ、完璧を求めようとすると時間ばかりかかり、途中で挫折してしまうこともあります。
大切なのは、優先順位をつけて、段階的に身につけていくことです。
ネットワークの基礎を理解しないままサイバー攻撃手法を学んでも、理解できない可能性が高いです。
例えば、「SQLインジェクション攻撃」を勉強しても
「SQLって何?」「or 1=1」って何してるんだろう…
と前提知識に引っかかってしまい、うまく理解が進みません。
そのため、まずは最低限の基礎から順番に学ぶことを強くおすすめします。

知識もないまま実践に入ってしまって
ほとんど理解できず、挫折を繰り返す日々が続きました…
ここでは、未経験からペンテスターを目指すうえで、まず習得すべきスキルを3つのステップに分けて解説していきます。
各ステップでは、「最低限どこまで理解しておけばいいか」という目安もあわせて紹介します。
第一ステップ|ネットワークとセキュリティの基礎を固める
サイバー攻撃手法を理解するには、ネットワークやセキュリティに関する基礎知識という「土台」が必要です。
この土台がないと、学ぶ内容が難しく感じられ、途中で理解が追いつかなくなることがあります。
そのため、まずはこの基礎をしっかり固めておくことを強くおすすめします。
最低限の知識を身につけておくだけでも、サイバー攻撃に関する学習が格段にスムーズになります。
たとえば、最低限以下のようなポイントが押さえられていると理想的です。
- IPアドレスやポートを使って通信がどう行われるか
- 代表的なプロトコル(FTPやSMBなど)の働き
- セキュリティ機器(ファイアウォール、IDS/IPS、WAFなど)の役割と防御範囲
これらの内容は、「安全確保支援士」や「応用情報技術者試験」などの参考書を使って体系的に学ぶのがおすすめです。
どちらもセキュリティ業界で働く上で理解しておきたい基礎知識が詰まっており、初心者にとって非常に有用です。

勉強だけで終わらせず、余力があれば資格まで取るのがおすすめです
知識が身につくだけでなく、実績としても証明できるようになりますよ!
第二ステップ|OSの基本とコマンド操作を理解する
ネットワークとセキュリティの基礎がある程度身についたら、次はOSの仕組みを理解することが重要です。
テスト対象の多くはWindowsやLinuxで構成されており、侵入後はそのOS内部を操作する力が必要になります。
たとえば、最低限以下のようなポイントが押さえられていると理想的です。
- WindowsやLinuxでのファイル構成(ユーザーフォルダの場所など)
- ユーザー権限の種類(管理者、ゲストなど)
- Windows上でPowerShellを使ってコマンドを実行する方法(例:whoami、dir)
- Linux上でターミナルを使ってコマンドを実行する方法(例:ls、cat)
これらの操作は、以下のような方法で実際に手を動かして学ぶのがおすすめです。
- 仮想環境(VirtualBoxやVMware)を使って、WindowsやLinuxの操作に慣れる
- TryHackMeなどでペンテスターとしてよく使うコマンドを確認する

わからなくても気にせず、少しずつで大丈夫です
実際に手を動かすことで、自然と慣れていきますよ〜
第三ステップ|サイバー攻撃手法の理解
ネットワークやOSの基礎がある程度身についたら、、いよいよ実際の攻撃手法について学ぶ段階です。
攻撃手法にはさまざまな種類がありますが、まずは次のような代表的な攻撃から学ぶのが効果的です。
- Webアプリケーション攻撃:SQLインジェクション、XSS、CSRFなど
- ネットワーク攻撃:ポートスキャン、FTPやSMBといったプロトコルを狙った攻撃 など
- システム侵害:権限昇格、リバースシェルの実行 など
学習の方法としては攻撃できる環境が必要なため、TryHacMeやHack The Boxなど学習プラットフォームで勉強していくのが王道です。
未経験者がスキルを身につける上での注意点

ペンテスターを目指して学習を始めたばかりの方にとって、最初の壁になりやすいのが以下です。
- 自分のレベルに合っていない学び方
- 知識がバラバラになってしまい、うまくつながらないこと
ここでは、未経験からスキルを身につける際に気をつけたいポイントを2つ紹介します。
自分のレベルに合った学び方を選ぶ
学習を始めたばかりの段階で、いきなりツールや攻撃手法の解説に飛びついてしまうと、用語や前提知識がわからないまま進んでしまい、結局、内容を理解できないこともあります。
特に、知識がまだ浅い段階でTryHackMeやHack The Boxに取り組んでしまうと、内容が難しく感じられて挫折につながりやすくなります。
まずは、自分の今の理解度を把握し、「わかる範囲の教材」から始めることが大切です。
たとえば、ネットワークなどの基礎が不安であれば、基本情報技術者試験レベルの教材や、図解入りの入門書から始めるとよいでしょう。
“断片的”ではなく“体系的”に学ぶことが大切
興味のあるトピックだけをつまみ食いするような学び方では、知識がバラバラになってしまい、全体像が見えなくなります。
たとえば「XSSって面白そう!」と思っても、HTTPの仕組みやJavaScriptの基礎がないと、表面的な理解で終わってしまうことがあります。
遠回りに見えても、土台となる知識を体系的に学んでいく方が
結果として、理解も深まり、応用力も自然と身についていきます。
まとめ|まずは最低限のスキルレベルを身につけよう

ペンテスターを目指すには、必要とされるスキルがたくさんあります。
しかし、最初からすべてを理解しきっている必要はありません。
むしろ、「自分にとって今、何が必要か」を見極めながら、優先順位をつけて、段階的に学んでいくことが、挫折せずにスキルを伸ばすためのポイントです。
本記事で紹介した3つのステップに沿って
- ネットワークとセキュリティの基礎
- OSの理解とコマンド操作
- 攻撃手法の仕組み
これらを順番に学んでいくことで、挫折せずスムーズに習得できます。
完璧を求めすぎず、まずは“最低限のレベル”を目指すことから始めてみてください。